東京画廊
Tokyo Gallery
Tokyo, Japan
Completed in 2025
建主:東京画廊
用途:アートギャラリー
設計:T/H
施工:まつもとコーポレーション
家具:T/H + E&Y
写真:DAISUKE SHIMA
日本で初めて現代美術を取り扱ったギャラリーとして知られる東京画廊、その一画に置かれるテーブルとチェアのデザインを行った。 10年前、初めて東京画廊を訪れた当時、建物の設備や構造躯体など、ギャラリーの中には入居するテナントビルの諸事情が無造作に現れていた。まず初めに、そういった諸事情を一つ一つ紐解き、10年の間に何度かの工事を経て、展示されるアート作品のために必要なもの、少ない輪郭線、均質に壁を照らす光、十分な長さの壁面を求めてギャラリーを再構成していった。 私たちが感じた東京画廊という存在は、重さと柔らかさが同時にあるような、不思議な感覚を与えられるものだったし、その感覚をギャラリーに落とし込むことはとても大事な事だと思った。 例えば、ギャラリーの床は東京画廊の代表、山本豊津氏がここに移転してきた際に選んだ少しトーンの落ちた床タイルをそのまま利用し、既存の床が持つ時間の重さを引き継いでいる。あるいは、抽象的な障子を設け、外の光を淡く取り込んだのも同じ感覚のところにあった。
プロジェクトの最後にデザインしたテーブルとチェアのセットも同じところで考えている。すなわち、作品の背景に属することと、東京画廊のもつ重さと柔らかさの感覚を持つことである。 具体的には、面をつくる座面や背もたれ、テーブルの天板はしっかりとした厚みを持たせつつも縁を丸めて、淡く、ともすれば壁の中に消えていくような輪郭をつくる。線をつくる鏡面のフレームは、確かな重みのあるステンレスの無垢材を使いつつ、物体であることを避け、像に近づくことを考えた。各部分の寸法やプロポーションは、説明、商談、寛いだ会話、沈黙など、様々な行為を受け止めるための設定となっている。